アニメ咲-Saki-シリーズでのZAQさんの仕事って凄いよね、という内容の小学生並の感想文

今季から咲-Saki-全国編が放送を開始しましたね。毎週楽しく見ています。

 f:id:kumakiti300:20140218221503j:plain

どうやら放送コード的には大丈夫みたいですね。

 

それでその咲-Saki-全国編を、…面倒くさいので以下は咲とだけ表記しますが、それを見ていたら久しぶりに咲熱が再燃してしまい、その一環でとりあえず購入だけしておいて死蔵していた阿知賀編のキャラソンシングルを、今更なのですが、最近聞きました。

買ったうちのシングル、阿知賀女子学院メンバーの五枚分、通して聞いてみて、キャラソンとしてすごく良くできてるなあという感想ともっと早めに聞いておくべきだったなという後悔とを抱いたのですが、びっくりしたのが、その五曲のシングル、作詞作曲編曲が全部一人。それで改めて調べてみたのですが、結果判明した咲阿知賀編におけるZAQさんの仕事ぶりが凄かった(小学生並みの感想)のでまたまたびっくりした次第でした。

 

 

ところで、良くできてると前述したのですが、そう感じた理由です。

たとえばひとつの楽曲の評価基準として、作曲技術の巧拙であるとかそのたぐいの理論、それにについては自分は門外漢もいいとこなのでよくわからないのですが、これはキャラソンであると、キャラソンの評価としては、たとえば歌詞がその作品に沿っているか、キャラクターをよく表現できているか、といったような事が評価の基準に挙げられるんじゃないでしょうか。

まあ別に歌詞も専門家でも批評家でもないのですが、取り付く島としてとりあえず歌詞だけに注目してみたのでした。(勿論曲も素敵ですが)作詞も一人名義なのでまあ一人でやっているのでしょうが、これがことごとく上手いなあと。歌詞から伺えるキャラクターに対する造詣の深さもさることながら、作品のテーマである麻雀用語を散りばめながらも、曲内でのストーリーがちゃんとあって、かつ聞きやすい歌詞に仕上げています。すごく見事だと思います。

具体例としてすこし引用します。阿知賀編キャラクターソングvol.2の「まじかる☆まーじゃん☆わーるど ver.憧」からです。ところで、アニメソングの歌詞にはありがちですが、歌詞を素面で読むと結構恥ずかしいので、読むときは頭をぽわぽわにすると良いと思います。

タコ鳴きならぬタコりー

引っ掻き回すの困ったちゃんだわ

アガるときは 考えてよね

わかってるって?ゲームは知性

 

ちょっと点取って

気取ってみちゃって

見逃しキメ込んで(うーわー)

信じらんない ツキも逃げてく

上がってなんぼ ゲームの極意

 

危機一髪 チャンス掴む

読むのはすきだから(ツッパって)

五感がゾクゾク 知的に見抜く

スピードが命 ねっ♪

説明するまでもないと思いますが、憧ちゃんは鳴き速攻重視の頭脳派プレイヤー、という設定のキャラです。点数より鳴きによる速さを優先する打ち筋に沿った歌詞で、それでも想定どおりにいかなくて準決勝みたいに”むいーん”しちゃう所とか、ところどころの麻雀のあるある、そういう実際のプレイ感覚に照らし合わせながら、本当に地に足ついた新子憧というキャラクターらしさを上手く出せてると思いませんか?自分はそう思いました(断言)。キャラソン製作にあたってそのキャラらしさが出ているということはかなり重要なことだと思いますし、そういう意味でも良く出来ていると思います。

f:id:kumakiti300:20140218233501j:plain
むいーん
 

各シングルのB面の曲は表記上はみな同じなのですが「まじかる☆まーじゃん☆わーるど」のver.玄であるとかver.穏であるといったふうに、シングルにおける各テーマキャラクターがソロで歌うという違いになっています。ただこれも歌手が違うだけというわけでもなく、確かに進行は同じなのですがそれぞれメロディに違うアレンジがかかっており、落ちサビの前のメロディに各キャラクターのA面のキャラソンのメロディが転調されて挿入されたりと、ただのバリエーション違いに収まらない聞き応えがあります。

A面の曲も個性豊かで歌詞もまたよくできています(表現に幅が無い)。キリがないのでもう引用しませんが、咲ファンならどれも必聴の出来だと自信を持って断言できます。

 

 

話は変わりますが、麻雀と萌えの融合、またそういう楽曲のたぐいの先鞭の跡はもちろん咲以前にも辿ることができます。どういうジャンルに伏流していたかというと、一般的に電波ソングと呼ばれるものです。電波ソングなんて定義は物凄く曖昧なのでできれば使いたくないのですが、それ以外に言葉も思いつかないのでとりあえず電波ソングと一括りにして言及します(どうせ真面目な文章でもないしね)。

その一例として、2005年発表のMOSAIC.WAVの「ようこそ!ヒミツの雀ばらや!」の歌詞を引用します。これも好きな曲なのですが、調べてみたらどうやら脱衣麻雀の主題歌だったらしいです。ゲームはやったことないので言及しません。

 

平和なウマの刻 見知らぬ藪の中ゆけば
雀に誘われて 来るは魅惑の桃源郷

アンコたっぷり ドラやきネ
チュウレンポトウ 小ロン包
順(シュン)のタケの子 いいソース
食えバ カゼもフキヌケル

うぇるかむとぅざ ヒミツの晩餐会(うぁんつぁいふぃ)
フアンでいっパイ でもダイジョウブ
お待たせ! 雀バラや!?
お越しになった あなたはラッキーボーイ
いつでもどうぞ!(やっぱり待って!)
カカンに イッパツ!

びあんヴにゅあ ナイショの晩餐会(うぁんつぁんふぃ)
おいしいフード あやしいムード
お待たせ! 雀バラや!?
ツモりツモって 朝までメシ和了
ハダカになってあたためあって
わふわふもふもふつぅいーそぉー
ハダカになってあたためあって
わふわふもふもふつぅいーそぉー

 …是非は置いておくとして、とりあえず麻雀を題材にした萌えソングの歌詞という点ではZAQさんと歌詞とコンセプトは一致していますが、上の歌詞をご覧になればわかるとおり、語感重視で麻雀用語にもとくに意味を持たせているわけでもなく、適当にそれっぽく羅列してるだけです。というか全体の歌詞自体が無意味です(余談ですが自分はこういう歌詞が大好きです)。たぶんそういうふうに書いているんだと思います。そもそもMOSAIC.WAVがそういうものしか書かないだけじゃないのと思った方は「ギリギリ科学少女ふぉるしぃ」等を聞いてみると良いと思います。

では翻って咲のほうはどうか。一期の楽曲は、これも驚嘆すべきことですが、ほとんどの作詞を畑亜貴さんが担当しており、一連の麻雀を題材にした主題歌またはキャラクターソング群の歌詞もまた、ファンから高い評価を得ています。なかでもEDの「熱烈歓迎わんだーらんど」は麻雀ソングというよくわからないジャンル(今考えた)の金字塔として不動の評価を多分得ています。ここでは、もうひとつのED曲である「四角い宇宙で待ってるよ」の歌詞を一部引用したいと思います。これも好きな曲です。

わたしもしたいよ

ココロは正直 ドキツモ快感

手加減しないで

四角い宇宙で テンパイすちゃらか

テンパイ即リー快感すちゃらか 青春当然ハコテンぶっとび

クイタンあとづけ連チャンさくさく ハイパイいーしゃん天国らりほー 

 

当たって(誰でもこいな)狙って(何でもこいな)

和了りはどんでん返し(リーヅモウラウラごめーん)

いけないわ ホンキだして(半チャンもういっちょ!)

 

読みって(オカルトないし)打ちって(味方いないし)

流れはもってかなくちゃ(追っかけリーチいゃーん)

 

足りないわトキメキ

疼くような面子がどうしたの?(トイトイトイトイ)

 これも前述の歌詞と同様に、麻雀を絡めてはいますが用語に意味を持たせてるわけでもなく、語感とイメージ重視の歌詞になっています。アニメソングを批評する時によく言われる所謂内容の無い歌詞です。話はそれますが一期のキャラソンである「刹那の海よ」や「タコスぢから=ユメぢから」なども同様の意味で凄いのでおすすめです。

結局言いたいことは、これらの歌詞は意図的にそうつくられているのだろうということです。聞き親しんだ麻雀用語が飛び交う歌詞は耳に残りやすいし、聞いていて楽しい気分になることは確かです。系譜などと大きく出ることはしませんが、麻雀を題材にした萌えソングをつくるにあたってはこういう手法が主流だったのかな、くらいの提案ならできるかなと思います。まさかいるとは思いませんが、もし、こういう記事を読んでいるいわゆるオタク的素養のある人間でありながら、畑亜貴が内容のない歌詞しか書けないだけだろう、と思う方がいるなら、たぶんその人が無知なだけだと思います。(一期の楽曲だけを見ても、畑亜貴さん作詞の「残酷な願いのなかで」など)

すこし補足します。ギャンブルとしての麻雀の側面にクローズアップしたダーティかつアングラな、基本血腥い従来の麻雀劇画の路線とは一線を画したのが咲でありますが、その咲が広く認知度を上げたアニメ化のさいに、咲の独自の路線を印象付けるのに、畑亜貴さんの書いたインパクトのある可愛らしさ(萌え)を前面に出した歌詞が多大に貢献したのではないか、という視点を無視するつもりは毛頭ありません。アニメ主題歌に限らなかったとしても、前例らしい前例もほとんどない試みにもかかわらず、先駆者にして完成度の高い歌詞をつくりあげたというのは大変な功績だと思います。

 

で、ZAQさんの歌詞をもう一回引用したいと思います。阿知賀編EDの「SquarePanicSerenade」の後半部分です。

願い背負って勝ち進め

指先が歌うよセレナーデ

掴もう軌跡 ドラドラって

積みあがってく数 そう絶対

 

四角の空を 自由にさ

飛び回ろうよ、一緒にね

笑って 怒って 明日へと繋いで

一歩ずつ駆け上がろう

 

また遊ぼうよ(Future is bright)

ありのままの私たちで(Dream come true) 

1,2,3,4,5のステップを

(テンパリぱにっくさいごに Here we go!!)

 

あの舞台を転げまわって

奏でちゃってよ、My セレナーデ

星屑みたいキラキラって

四角い箱の中 夢いっぱい 夢いっぱい

 

まだまだ続くこの勝負

走り抜けてく Run The World

駆け引き、勝ち負け、あの子に繋いで

笑って 怒って 明日へと繋いで

この草原駆け抜けよう

 と、麻雀を絡めつつも、和ちゃんに会うために全国の舞台を目指すという、阿知賀編のストーリーをうまく象徴するような歌詞に仕上げています。作品らしさを感じられる歌詞は、タイアップじゃない主題歌の良さですね。頻出する四角い空、四角い箱とかのワードは勿論麻雀卓のことで、一期に登場した畑亜貴さんの四角い宇宙という歌詞と繋げてきているのは明白であり、咲ファンなら思わず少し嬉しくなる発見です。最近行われた公式イベントの名前も「咲フェス 四角い宇宙でSquarePanic!」でした。

ZAQさんの歌詞は基本的に作品のテーマやキャラクターを良く織り込んであり、作品に対する造詣が深いんだなあと感じさせる出来だと思います。これでいて多作なのですから、その手腕には脱帽ですね。

 

結局何が言いたいかというと、全国編のキャラソンもあるとしたらZAQさんが担当だと思うので非常に楽しみということです。宮守、永水、姫松の三校のくくりで出るんじゃないかなと予想しているのですが、個人的に特に楽しみなのが永水女子高校のキャラソン。早見沙織さんや水橋かおりさん、大原さやかさん、赤崎千夏さん、さらに辻あゆみさんとにわか声オタの自分にとってはかなり魅力的な布陣でありますから、期待せざるを得ません。なかでも辻あゆみさんの歌声なんかは近頃においては非常に貴重でありますし、できるなら声優ソムリエでなくても聞き分けられるようソロバージョンとかも収録あるといいですね。調べても予定あるんだかないんだかよくわからないけけど。