オタトゥストラはだいたいこんなような事を言った

「オタクよ。わが言葉を聞け。おまえたちは衆愚だ。領導者をおまえたちが殺してしまった。これからはすぐれた領導者がおまえを救いに導くのではない。おまえがおまえ自身を救いへと導かなくてはならないのだ。」

「オタクよ。もう世迷い事はよいのだ。血の通わない言葉の網で、自らをがんじがらめにしなくてよいのだ。ただ証言だけをしろ。」

「信仰するという事は証言をするということだ。証言とは証明ではない。自分の霊性すべてにだけ責任を負うということだ。ただ、自分がそれを聖であると感じている、その点だけを自分の霊性すべてを賭して証言するだけでいいのだ。本当に信仰しているのならば。」
 
「オタクよ。おまえがいま信仰しているふりをしているものについて、証言してみろ。そうしておまえの胸の音を聞くがいい。おまえの心臓の脈打つ音を聞くといい。それがおまえの口からの役に立たぬでまかせの何よりもおまえを雄弁に語るだろう。」

「オタクよ。もう、嘘をつくのをやめろ。救われたいと信じながら、救いから頑なに眼を背けるのをやめろ。おまえの肉体の声を聞くのだ。そうして十全たる肉体を取り戻し、止揚の果てに真なる者となるのだ。」

“ではオタトゥストラ様、真なる者とはいったい何なのでしょうか。”
群衆の一人が叫んだ。

「私が目をつぶって石を投げ、当たった者が真なる者だ。」

オタトゥストラは目を瞑り、ギリシャ人の円盤投げの彫刻のようにきつく身体をしならせて石を投げた。真なる者は頭をぶち抜かれて死んだ。